新たな変異株 (オミクロン)によりレッドリストが復活したイギリス
3日前のブログでは、コロナとの戦いに関して「イギリスは優位な立場に立っている」と言う頼もしい記事についてお知らせしましたが、感染者数はまだ上昇中です。専門家によると、これも計算の範囲内かとは思うのですが、それにしても右肩上がりのグラフ。今日は5万人を超えてしまいました。
そんな中、新しい変異株が南アフリカで見つかったニュースが昨日BBCのトップ記事に載りました。すでに日本でも報道されているので、詳しい説明は省きますが、50回以上変異したので、オリジナルのウイルス用に研究開発されたワクチンが効かないのでは、と言うのが大きな懸念点だそうです。
今回イギリスが取った対応策は、南アフリカを含むアフリカの6カ国( South Africa, Namibia, Zimbabwe, Botswana, Lesotho and Eswatini )からの入国制限ですが、それが見事な早さでした。変異株のニュースが記載されたのが、昨日(25日)の午後6時頃だったはずで、その時は、「6カ国からの帰国者(イギリス在住者のみ)は26日の正午から日曜日の午前4時に政府のホテルが用意できる前に帰国した人は自宅で10日間の自主隔離をしてもらう」と報じられていたのですが、その数時間後には、6カ国からのフライトは全てサスペンド(一時停止)になりました。今のところ日曜日にホテルの用意ができたらとりあえずイギリス居住者は帰国できるようです。ただし政府指定のホテル代は自己負担で、前回はレッドリストの国から入国した場合は10泊11日で£2,285(約35万円)でした。レッドリストという言葉を初めて聞いた方は、こちらのブログをお読みください(UKの水際措置)。
このレッドリストですが、メキシコがレッドリスト入りした際には、8月6日の水曜日にアナウンスされてから、その週の日曜日の午前4時まで数日の猶予があり、急いで帰国を早めた人たちが出ましたが、今回はそのオプションすらなく、完全に遮断状態。それほどの対策を数時間で取るほどの脅威なのでしょうか?
イギリスではまだこの変異株の感染者は見つかっていないそうです。
BBCのJames Gallagher氏によると今までも変異株は生まれていて、脅威になるかと思っていたら消滅したものも数多くあったそうです。それにアフリカはワクチン接種を2回完了した人は全人口の24%と低いけれど、多くの人がコロナに感染済みで自然免疫は持っているので、この変異株がどれほどのアフリカで広まり他の国に影響を与えるのはまだ未知数とのこと。
なおBBCの記者で南アフリカ駐在のAndrew Harding氏は、南アフリカの科学者たちは今この変異株について詳しく理解しようとしているところだけれど、他の国からのサポートが必要なこの大事な時に多くの国のレッドリストに加えられてしまったことが残念だと述べていました。せっかく見つけて公表したのに、このような扱いを受けてしまうのなら、今後はどの国も新種が見つかっても隠蔽してしまう?
イギリスも特定の地域でデルタ株が見つかった時は世界中から冷たい目で見られていましたが、「設備が整っていたので、他の国よりも早くデルタ株を見つけただけで、すでに世界中に広まっていた」と科学者が述べていたのを思い出しました。
今回の6カ国を即座にレッドリストにしたことに関して、インペリアルカレッジのFerguson教授は、賢明な対応だったと述べています。オックスフォード大学のNaismith教授も「いずれはやって来るかもしれないこの変異株は、渡航禁止により数週間遅らせることで(研究する)時間が稼げる」と。またワクチン効果を低下させることはほぼ確実ではあるけれど、やはりワクチンはある程度の効果はあるし、Covidの治療のために開発された新薬はこの変異株の影響を受けることはないだろうから悲観することはないとのこと。
正確に言うと、「悲観」ではなく、「It’s bad news, but it’s not doomsday」 (悪い知らせだけれど、この世の終わりではない)と述べていました。
なんとも重たいブログになってしまいましたが、分析は科学者にお任せして、私達は人混みを避ける、手洗いを徹底させる、規則正しい生活をして免疫力をアップする、などできることをして、静かに収束を待つのみ?
作成日:11月26日
参考記事:https://www.bbc.co.uk/news/uk-59428398、https://www.bbc.co.uk/news/health-59418127、https://www.bbc.co.uk/news/uk-59424269、
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