イギリスは今後ロックダウンを避けることが可能?

西欧では感染率が急上昇し、新たな制限が設けられたり再びロックダウンになった国も出てきました。このことからイギリスも同じく感染者が増え続け、ロックダウンになってしまうのかと不安になりますが、そうはならないだろう、それどころかイギリスは最も優位な立場にあるかもしれない、と今日のBBCの記事に記載がありました。

なぜ最近西欧で急激に感染者が増加したのかと言うと、イギリス、特にイングランドと違い、多くの国では長い期間規制を設けていたこと。これが今になって急増した理由だそうです。これに対してイングランドは7月半ばには規制を全て解除していました。

この場合タイミングが要になっていて、イギリスは変異株のアルファやデルタの感染がどこよりも早かったけれど、逆にそのためにロックダウンの解除(アンロック)も他に比べて早く行うことができたのでした。

そしてこの解除は早ければ良いと言うことではなく(実際イギリスは一度延期しています)、この解除は政府のトップ科学者であるWhitty教授とVallance卿が注意深く選択した結果だそうです。

さまざまな規制を取り払うことによりリスクはあったものの、Exit Wave (ロックダウンを解除したために起こる波)を夏に持ってきたのがタイミング的によく、夏には大勢の人が屋外で集まることができるため、屋内(密室)で人が大勢集まることは防げることができた、そして冬になる前に若者の2回目の接種や50歳以上のブースターもだいぶ進むので、医療機関を圧迫させずに済むはず。と言うのが専門家の見解でした。

さらにこのイングランドの優位な立場を立証するためのモデル(シュミレーション)の結果もLondon School of Hygiene and Tropical Medicine(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)から公表されています。

このグラフはもしも全ての人が今ウイルスに晒された場合にどうなるか?を国別に数字化したものです。考えるだけでも恐ろしい仮説ですが。

その結果イギリスは10万人のうち62人が重症化するだろうと言う推測に対し、ドイツは300人、ルーマニアは800人でした。理由はルーマニアはワクチン接種率が低いこと、ドイツは感染率が低いこと、だそうです。感染率が低いことはいいことではなく、免疫を持っている人が少なく感染しやすいことなので悪いことなのだとか。

このグラフは10月に分析した結果ですが、11月に同じ分析をすればイギリスはもっと優位になるとのことでした。理由はブースターが広まっていることで、これも良いタイミング。ワクチン接種開始時期が他の国に比べて早かったので、2回目の接種後すでに3ヶ月を経過していて冬が来る前にブースターを接種できる人口も増えているからです。

ただ、多くの犠牲も払っています。ワクチンの無かった昨年に比べれば減少していますが、今年の夏から秋にかけて重症化し亡くなった方の数が他のヨーロッパに比べて上回っていました。

また一つ気になっていることがあり、ブログに何度か書いているのですが、ブースター接種は不要ではないかと言う専門家の方も大勢いました。アストラゼネカのワクチンを作ったGilbert教授やPollard教授、政府のワクチンアドバイザーのFinn教授は、それよりも1回もワクチンを接種できていない他の国に渡すべきだと力説していました。その方達はこの現状をどう受け止めているのでしょうか?(過去ブログ:50歳以上のブースター接種は不要?

さてこのイギリス、特にイングランドは全ての規制を解除したにも関わらず、感染者数が凸凹ですが増えていないのが下記のグラフでわかります。ヨーロッパの他の国々には見られない現象です。他の国では感染者数が増えるとすぐに規制を強める傾向にあり、ルーマニアでは9月と10月に感染者が急増した際、すぐに夜の外出時間の制限をし、学校を閉鎖、公共の場ではヘルス パスの提示を義務付けました。そして感染者数が減っているのでいいことだと思うのですが、この制限をしたことで国民に免疫力が付かず、また加えてワクチン接種率も低いため、ウイルスに感染しやすい人たちを増やしてしまっているのでより危険だと、London School of Hygiene and Tropical Medicineの科学者たちは危惧しています。そこで先ほどの怖い仮説でもルーマニアはトップになってしまいました。

一見無謀と思われた、全ての規制緩和をいち早く行なったイングランドですが、その賭けに勝ったのでしょうか?

イギリスの規制緩和後(7月19日以降)の感染者数推移 https://ourworldindata.org/covid-cases

ただ免疫力だけではイングランドがこれだけ安定しているとは考えにくく、多分国民全員が重要な役目を果たしているのではないか、と言うのがMedley教授の個人的見解でした。

人が大勢集まるところには制限をかけたこと(サッカーのW杯は?)、特に政府がリスク管理を国民に委ねたこと、また誰でも簡単にCovidのテストを受けられる環境を作ったことなどがこの「感染者は多いけれど重症者は少ない現状」を作っているのでは、とも話していました。

大きな疑問はこの安定した状況が冬の終わりまで保つかどうかですが、Medley教授は「微妙にバランスが取れていて、週を追うごとに良くなっている」のだそうです。

これだけ多くの犠牲を出してしまったCovid。Medley教授の見解通りになりますように。

作成日:11月23日

参考記事:https://www.bbc.co.uk/news/health-59378849

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