ウエストのサイズは身長の半分以下に⁉︎

イギリスにはNICEと言う国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence)があり、近々発行するガイダンスでは「ウエストのサイズは身長の半分以下に保つようにすること」と記載されるそうです。

またそのガイダンス(案)ではアジアや黒人の一部の民族では「中心性脂肪率」と言うお腹の周りに脂肪がつきやすいタイプが多いとされています。いわゆるビール腹?

Photo by George Cox on Unsplash

BMI(ボディマス指数)を知ることも大切ですが、この指数にはお腹周りの脂肪は含まれていないので別途実際にウエストのサイズを測ることも大事だと書かれてありました。

ちなみに正しい測り方は、「肋骨の直下と腰骨を確認し、ちょうどその真ん中にテープメジャーを巻き付け、息は普通に吐き切った時に測ること」だそうです。

この2つの数値(BMIとウエストサイズ)を知ることによりどれだけ中心性脂肪がついているかが推測でき、健康上のリスクがあるかどうかもわかるとのことです。

BMIはこちらで計算できます。→ NHS BMI healthy weight calculator (英語)

以前パンデミックによりイギリス全体では平均して体重が3キロ増えたことをブログ(ロックダウンによる体重の増加?)に書きましたが、子供の肥満も増えていたようです。2019-2020年に比べると2020-2021年では小学6年生の子供では肥満が4.5%も増加し全体の25.5%、つまり4人に1人の子供が肥満という数字が公表されていました。5歳児は9.9%から14.4%に上昇。そして子供であっても肥満による糖尿病のリスクがあるので注意が必要だとNHSのサイトにもNICEにも書いてありました。他には「非アルコール性脂肪肝」「高血圧」「新血管疾患」などの原因にもなるそうです。

体重を減らすのは食生活の改善、運動をすることなどが基本ですが、併せて薬により減少させる方法もあります。最近では新薬開発の為の治験が行われ、基本的な生活改善に加えて週に一回セマグルチドという薬剤を注射することによりどれだけ体重を減らすことができるかを検証した結果もオンラインで公表していました。

治験対象はBMIが30以上の1961名。アジア、欧州、北米、南米の16カ国、129のサイトで行われ、2対1の割合で週1回のセマグルチドの投与(注射)、またはプラセボ(偽薬)の投与を68週間実施、1年3ヶ月以上にわたる長い治験でした。尚、この注射はペン状になっていて自分で投与できるそうです。

結果はセマグルチドを投与されたグループでは体重が平均して15.3kg減少したのに比べ、偽薬投与のグループでは2.6kgでその差は12.7kg! なんだか魔法の薬みたいです。ただ全員に効果があるというわけではなく、副作用もあり、消化器系に問題が起こったため投与を中断した人もいるとか。

それに単なる週一回の注射だけではなく、生活改善もこの治験には含まれていましたので、こちらをどれだけ忠実に守ったかも結果に影響しているのでしょうが、その部分に関しては記載が見つかりませんでした。

NICEはこの新薬がNHSで提供できるようにすることを推奨しています。そうなった場合は処方される毎に処方箋代一律£9.35(約1,500円)で入手できますが、条件としては「専門医による処方」、「肥満による既往症を持っている人」、「最長2年まで」としていました。美容のためには簡単に手に入らないようです。

なお現在では医療機関によって以下の治療方法が提供可能です。

  • オルリスタット:食べ物に含まれる脂肪の一部が体内に吸収されるのを防ぐ錠剤
  • リラグルチド:満腹感を与え空腹を感じさせない効果のある注射で毎日投与
  • ガストリックバンド:胃の周りに装着することにより満腹感を与える(下手に締めた帯みたいで苦しそうです)
  • ガストリックバイパスあるいは肥満手術:消化管の一部に変更を加えたり切除する

ご参考までに、ガストリックの「ガストロ」は「胃」を意味していて、gastric cancerは胃癌、gastric acidは胃酸、のように使われます。

先ほど子供の肥満率に関して書きましたが、成人はというと28%が肥満、38%が「やや肥満、過体重」の部類に入るそうです。ということはイギリスでは全人口の半数以上が肥満あるいはやや肥満ということになります。他の国についてはまだ調べていませんが、この数字は驚きでした。

無理に痩せようとしても栄養失調になったり体を壊したり、時にはリバウンドも起こってしまいますが、肥満であることが数々の病気の原因となる場合は、医療の手も借りながら、健康体重に戻し、保つことが大切ですね。

作成日:4月8日

参考先URL:https://www.bbc.co.uk/news/health-61021823https://www.bbc.co.uk/news/health-60300916https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2032183NHS DigitalNICE

アイキャッチ画像:Photo by Diana Polekhina on Unsplash

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