ホームズ・フォー・ウクライナ、ホスト側の思い
約3か月前のブログに、ホストになると決めた中で約18%の人がまだゲスト(ウクライナからの避難民)待ちだと言うことを書きました。(ホームズ・フォー・ウクライナ制度のその後)
ホスト側が少ないはずなのに何故ゲスト待ちなのかなと思っていましたが、その中の1人が3月から今までどんな体験をしてきたかが書いてある記事を見つけました(記事のURL : LGC Briefling)。
この女性は3月にホストになることを申請しました。彼女の住む家の敷地内には狭いけれど一部屋の建物(離れのようなもの?)があるので提供が可能、困っているウクライナ人を助けたかっとことが申請理由ですが、他にも少し手前勝手かもしれないけれど、家を追われてしまったウクライナ人と接することで自分の子供たちに彼らがどれだけ恵まれているのかをわからせることができると考えたのだそうです。そして寛大とは言えない額だけれど£350(今日のレートで約58,000円)の補助金があれば出費をある程度賄えると思ったとも書いてありました。
申請してすぐにフェースブックを通して親子5人(父・母・小さい子3人)が見つかりました。ゲストの見つけ方はいろいろあり、フェースブックなどソーシャルメディアを通して自分たちで見つけると言うのも一つの方法です。
部屋が狭いので5人には無理かと思っていたところ、この家族は当時ルーマニアでハウスシェアをしていて、その家の一部屋に5人で住んでいたので、それに比べれば一応独立しているし大丈夫かと思ったそうです。その家族を見つけた直後に、なんとその一家は家を追い出されてしまい、車の中で寝起きしているとのこと。
この5人を受け入れるためにたくさんの書類を用意してビザの申請をしたものの、数ヶ月経っても発行されなかったそうです。その間何度か政府や地方の役所を電話やメールでやり取りをしたけれど、矛盾した答えが返ってきたりして遅々として進まず、役所側の対応の悪さに苦労したようでした。
このビザの発行を待っている間にWhatAppというアプリの掲示板でウクライナ人のホストになるので家具が必要だということを知らせたところ、たくさんの人から連絡があり、中には新品の家具を届けてくれた人もいたし、3人の子供達用に箱一杯のプレゼントを送ってくれた人もいたそうです。
そしてやっとビザが降りたところで役所から家庭訪問があり、離れの部屋は狭すぎて不適応とされてしまいました。やっと受け入れられると思っていた矢先に断られ、ショックは大きかったようです。ただラッキーなことにこの5人家族にはもう少し広いところが見つかったそうです。
次に見つけてきたゲスト候補はお母さんと11歳の息子の2人。お母さんは全く英語を話せずやりとりに苦労したようですが、成人したお嬢さんがロシアに住んでいることがわかりました。さらに戦火から逃れる前に息子さんのパスポートの更新ができなかったこともわかりました。そのせいかこちらもなかなかビザが降りませんでした。
ゲスト待ちの状態の時にチャリティーグループから女性を1人預かって欲しいとリクエストされたのですが、役所側によると「ゲスト候補のビザ待ちの場合は他のゲストを預かってはいけない」という規則があるので、預かることはできなかったそうです。
9月になり結局そのお母さんと息子さんの件は諦めたところ、3週間後に21歳の女性の受け入れが決まりました。その女性が夕方家に着いた時は目の下が黒ずんでいてどれだけこの数ヶ月間辛い思いをしたのかが一目でわかったそうです。
英語は少し理解できるけれど、一言も話せなかったので会話はもっぱら携帯電話に付いている音声認識による機械翻訳に頼っていたのですが、彼女の方言を機械翻訳が正しく認識しなかったこともあり、肝心なことがうまく伝わっていないことが多々あって苦労したそうです。
それにもう彼女を受け入れて1ヶ月経つのに補助金は支払われないままとのことでした。
「ホストファミリーになるにあたって、一番困ったのは国や地方の役所とのコミュニケーションがうまく取れなかったこと。ビザの発行が遅れた原因も教えてもらえないし、長く待たされたのが苦痛だった。それにホストを受け入れるにはお金が全てでは無いけれど、補助金がもう少し多く出れば助かるホストファミリーも多くいるはず」と述べていました。
彼女のように9月になってやっとホストになれた人を除いてはほとんどのホストがもう最初の6か月を過ぎました。それなのにまだウクライナの人たちは自分の国に戻ることができません。この状態はいつまで続くのでしょう?
作成日:11月15日
参考先URL:LGC What the Homes for Ukraine scheme feels like as a host
アイキャッチ画像:Photo by Daniele Franchi on Unsplash
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