物価急上昇中のイギリス
以前ガス料金が値上げしたとブログでお伝えしていましたが、ガスだけではなく、その他諸々も値上がりし、イギリスでは2011年以来の高いインフレ率になってしまいました。どれだけ高いかと言うと、これぐらい↓
なんでこんなに「うなぎ登り」かと言うとさまざまな要因があり、メインはやはり原油・天然ガスの高騰。その結果、企業によっては値上がりした分の一部、あるいは全部を消費者・顧客に負担してもらうために商品・製品・サービス料の値上げが発生しました。
ちなみにガス供給会社は値上げしたくても上限(CAP)があったため値上げができず、次々に倒産してしまいました。(詳しくは過去のブログをご覧ください:ガス価格の高騰でイギリスのガス会社が次々倒産?)
他には物不足による値上げ。ほとんどの新車はコンピュータ搭載ですが、コンピュータの心臓部分であるコンピュータチップ不足。そしてそのために新車を製造できなくなり、中古車の値段もうなぎ登り。過去2年で最大57%の値上がりだそうです。
またパンデミック中はVATのレートを下げて、飲食店などをサポートしていたのが、元のレートに戻ったため、値上がり。そしていつも登場するBrexitが原因で色々値上がり。
ウーバー料金も上がり、建築資材の不足・値上がりのために、家の改造費も上がり、スナック菓子(Pringles, Doritos, Hula Hoopsなど)もインフレ率が3ヶ月で7.6%で平均のインフレ率を上回っています。値段が下がったものは存在するのでしょうか?
インフレ率を測る目安として、Office for National Statistics (ONS)は映画のチケット代やスマートスピーカーなど数百項目について常に価格をチェックしているそうです。その結果がグラフにあるConsumer Prices Index (CPI)として見える化されています。この対象となるアイテムは何年も同じものではなく、更新されています。たとえばパンデミック中は消毒用のハンドジェル、男性用ラウンジウエア(なぜかボトムスだけ)が追加され、社内食堂で販売されているサンドイッチが除外されました。
そしてその調査結果をONSが毎月公表し、前年の同じ月と比較しています。
ちなみにONSのサイトから、過去1年間だけのCPIを取り出し、グラフ化してみました。尚、このサイトにはいろいろなデータが記載されていました。イギリスの人口は67,081,000人(2020年中期)とか、就業率、失業率も。
緩やかなインフレは経済を活発化するといわれ、デフレになり物の値段が下がると、消費者はもっと下がるだろうと思い購入を控えるので経済が滞る、と一般には言われています。
そしてインフレ率に伴って、皆さんの給料や年金も上がれば生活には困りませんが、そうでないと生活が苦しくなる一方。給料が大幅に値上がりした大型トラックの運転手さんだけは大丈夫かもしれないですね。
Bank of England (イングランド銀行)はインフレ率を2%に抑えることを目標としているそうですが、今月の時点で倍以上。そこで対応策として、利率を上げることを検討中。そうなるとお金を借りている人たち、特に住宅ローンを払っている人たちの返済額が多くなり、逆効果ではないかと思いました。イングランド銀行によると、利率を上げて借りるコストが高くなれば人々はお金を使わないようにするので、物を買う量が減り、それに応じて物価が下がると。でもそれはデフレと同じで経済が滞るはずでは、そうしてローン返済中の人たちはますます生活困難になると思うのは私だけかと思っていたら、私だけではなかったようです。記事の最後には、インフレの原因が世界的なエネルギー価格の高騰など外的要因によるものであれば、金利を上げても問題は解決しないかもしれません、との記載がありました。
根本的な解決方法が早く見つかりますように。
追伸:何故2011年もインフレ率が高かったのか気になったので調べてみたところ、主な原因はVATを17.5%から20%上がったからでした。他には今回と同じ原油・天然ガスの値上げと輸入税の引き上げなどが挙げられていました。
作成日:11月18日
参考記事:https://www.bbc.co.uk/news/business-12196322、https://www.bbc.co.uk/news/business-59266759、https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/inflation-report/2011/may-2011.pdf、https://www.bbc.co.uk/news/business-58993851
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