政府は一体どこからお金を借りてくるのか?
トラス新首相は選挙活動中に自分が首相になったら即刻税金を下げると宣言していました。それは納税者にとっては嬉しいニュースですが、税金は政府の主要な収入源です。
光熱費の高騰で苦しんでいる個人や企業にも補助金を出すと宣言していました。今日のBBCによると、破産の危機に陥っている企業を救うには政府から年間£1,000億(約16兆円)の補助金が必要だと専門家が算出しています。
税金を減らし補助金などの出費を増やした場合、政府の懐は火の車になるのは誰でも想像がつきます。
では、どうやってその不足分を補うのか、というとBBCの7月21日の記事(Where does the government borrow billions from? 政府はどこから億単位のお金を借りてくるのか?)に答えが載っていました。国債を発行して資金を作る、つまり借金をするのが通常の方法でした。他には国有地などを売る方法もありました。
以前ブログに書きましたが、政府はパンデミック中にファーロー スキームを施行し、無給になってしまった多くの人たちを救いました。それも原因で2021年から2022年にかけての1年間に、£1,437億(約23兆6,000億円)を国債などで借りたそうで、1947年から3番目に多い借金額ですが、その前の年のまさにパンデミックの真っ只中は£3,096億(約51兆800億円)だったそうです。
このように政府が支出した金額と徴収した金額の差を埋めるために借りたお金は「公的部門純借入」と呼ばれます。
国債の大部分は金融機関が買い手で、私立年金会社、投資ファンド会社、銀行、保険会社などですが個人でも買うことができます。
またイングランド銀行も経済を活発にするために購入する時があるそうです。今まで£8,750億(約144兆円)を政府から買い、£200億(約3兆円)を企業から買ったとありました。
この国債は一定の期間が過ぎたら、おまけを付けて返すことになっていて、借りている期間も貸してくれるお礼として幾らかを支払っているそうです。つまり利息のようなもの。
期間は最短で一日、長いと55年間と言うのもあり、かつては永久債と呼ばれる返済不要の国債もありましたが、政府は2015年に最後の永久債を返済したそうです。
出費が多い年は赤字が膨らみ、収入が多いと黒字に。実際黒字になった年もあったようです。一度もなければ困りますが。
今まで政府は期限内に債務を返済していますが、余分なお金がないため新たな資金をどこからか借入しての返済。つまり新たに借金が生まれているのが現状のようです。
2022年の第一四半期(1月〜3月)末時点での負債(借金)は£23,654億(約391兆円)。2022年第一四半期だけの赤字は£1,580億(約2兆円)。
ちなみに日本の負債額を調べてみたところ、2022年3月末で過去最大の1,241兆円だったそうです。上には上が ⁉︎ (参考記事: nippon.com)
新首相が誕生した今期どれだけ借金が増えるのか気になりますが、これからやってくる寒くて長い冬に誰もが請求書を気にすることなく暖房のスイッチを入れて暖まり、電気を点けて明るくなるようにして欲しいです。
作成日:9月7日
参考先URL:https://www.bbc.co.uk/news/business-50504151、https://www.bbc.co.uk/news/business-62813782、nippon.com、ONS .Gov.UK: UK government debt and deficit: March 2022
アイキャッチ画像:Photo by Marcus Loke on Unsplash
コメント新規追加