タッパーウエア、絶滅の危機に?

今朝のBBCオンラインニュースでタッパーウエア社が倒産の危機に直面しているという記事を見つけました。創業77年になるこのアメリカの会社は密封容器で有名ですが、多額の債務と売り上げ減少により、今後投資がなければ倒産する恐れがあるとのことです。

タッパーウエア社の製品ではない保存容器のこともタッパーと呼んでいる人が多いと思いますが、イギリスでも同じで、特に若者はタッパーウエアがブランド名だということを知らない人も多いとか。食器類を英語でtableware(テーブルウエア)と呼ぶように、タッパーウエアは保存容器全般を意味すると思っているかもしれません。

この優れた密封容器を発明した創業者の名前がアール タッパーというのは初めて知りました。ミスタータッパー。

ところでいくら優れた製品でも販売力、マーケティング力がないと売れません。ここまで有名になったのは、ブラウニー ワイズ氏がいたからで、彼女の売り込みスタイル(イベント開催やホームパーティー)に出会わなければここまで大きく成長しなかっただろうと同記事に書いてありました。

この「主婦に売ってもらうスタイル」は他にも化粧品のエイボンや洗剤で有名なアムウェイなどもありますが、タッパーウエアは1950年代からアメリカ中だけではなく世界にも広まりました。知らない街に嫁いで友達もいない主婦の収入源、社交場にもなったのです。

実は私も大学の頃エイボンレディをやっていました。カタログ価格とエイボンレディ価格の差額で儲かる仕組みなのですが、友人にエイボンレディ価格で売っていたので儲かることはなく、でもおまけやサンプルがもらえるので面白かったです。タッパーレディも同じでしょうか。

このホームパーティーでの対面式販売方法はインターネットが発達した今、若い世代に人気が無くなり、売り上げは落ちる一方となったようです。パンデミック中は外に出られない人たちがケーキを焼いたりお料理を始めたりしたので、売り上げが再び伸びたのですが、最初のうちだけでまた徐々に下がってきてしまったとか。

タッパー氏が発明した技術を真似るのはそう難しくないためライバルが次々と現れ、安い価格で販売しはじめました。そのためお高いタッパーウエアから安いブランドに変える人が増えてきました。確かに他の製品に比べるとタッパーウエア社の製品はどれも高いです。

最近になって、アメリカ大手のディスカウントチェーンのターゲットでも販売するようになり、同時に保存容器以外の製品も販売し始めましたが、時すでに遅し?コンサルタント会社のニール ソーンダース氏は「あと10年早く劇的な改革をしていたら、今とは別な(良い)方向に向かっていたかもしれない」と述べていました。

さらに若い世代はプラスチック製品離れが始まっています。保存容器に移し替える代わりに、お皿にビーワックスで作ったラップ(蜜蝋ラップ)をかけるとか、使いかけの野菜もそれで包むとか。それも売り上げが落ちた理由の一つでしょう。私も知人からいただきましたが、洗って何度も使えるので地球に優しいです。ただしタッパーのように密封はできませんが。

さてタッパーウエア社の株は下落する一方。ここで救世主が現れないと、あのタッパー類の補充ができない日が来てしまいそうです。

我が家にあるタッパー類、他にもたくさん出てきました。

追伸:今日の記事にはホームパーティーの販売形式は2003年で終了になったと書いてありました。UKのサイトでも直接購入するオンラインショッピング形式のみとなっています。ところが日本ではまだホームパーティーが存在しているようです。タッパーウエアブランズ(タッパーウエアパーティとは)

作成日:4月12日

参考先記事URL:https://www.bbc.co.uk/news/business-65243711https://www.tupperwarebrands.co.jp/indexhttps://tupperwaredirect.co.uk/pages/product-custom-support

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