ワクチン接種とコロナ感染、どちらが免疫力を高めるのに効果的?

2日前のBBCニュースには「UKのワクチンブースター計画は9月から開始する見込み」と保健相のJavid氏からのアナウンスが載っていました。ブースター計画とは50歳以上と(ウイルスに対して)脆弱な人達を対象に3回目のワクチンを提供すると言うものです。ただ50歳全員が対象になるのか、開始日はいつになるのか、などはまだ専門家からのアドバイス待ちなので未定とのコメントもありました。

またイングランドでは明日23日(月)から16歳、17歳を対象にしたワクチン投与が開始されます。(政府からのプレスリリースより

一方では3回目のワクチンは本当に必要なのか?と言う議論も交わされているようで、以下の記事を同じBBCニュースサイトで見つけました。

記事のタイトルは「Covid: What’s the best way to top up our immunity?」(Covid:免疫力を高めるための最善策は?)https://www.bbc.co.uk/news/health-58270098

実は昨日報道された時のタイトルは「Is catching Covid now better than more vaccine? (コロナにかかる方が今ではワクチンよりも効果的?)となっていましたが、今朝見たらどう言う訳か修正されていました。

記事には以下のような事が書かれていました。

1年前はコロナ感染は多くの人にとって致命的でした。特に高齢者や既往症のある人が多く亡くなっていました。1年後の今、多くの人がワクチン接種をしたり、より多くの人が感染したことにより、新たに感染した場合の免疫がゼロではなくなっています。そこで今、子供にもワクチンが必要なのか、大人にも3回目が必要なのかは大きな疑問になっています。

もしかしたらこの先UKでは長い間毎年ワクチン投与をし続けることになりかねません。こんなワクチン過剰接種の国がある一方、他の国ではワクチンを1回も接種できない人達がたくさんいます。このような状態は間違っています。(と政府のワクチンアドバイザーであるFinn教授は訴えていました。この3回目の投与には、とても反対しているらしく「非常識、不公平どころか馬鹿げている」とかなり強い言葉で批判していました。)

コロナに感染した場合に体内にある免疫がする「お仕事」についての詳しい説明もありました。

ウイルスに感染した時は、抗体とT-細胞がウイルスを退治してくれます。抗体がウイルスの表面にくっついて、破壊するための印をつけ、T細胞は乗っ取られた自分の細胞を見つけ出し、破壊します。(この2つを「the power-couple」と呼んでいました。)

ウイルスはスパイク タンパク質を持っていて、それが細胞のドアをこじ開けてその細胞の中に入ってしまいます。また他の28ものタンパク質も細胞を乗っ取るのに活躍してどんどん自分たちのコピーを作っていきます。

モデルナ、ファイザー、アストラゼネカ、など、どのワクチンを接種してもその後感染した場合はスパイク タンパク質だけを攻撃するようになります。このタンパク質がウイルスにとって抗体を作るのに最も肝心なので、これだけでも重症化をかなり防げるそうです。

でも自然感染した場合は他の28のタンパク質も体内に入るので、次に感染した際それらもターゲットになる(抗体によって印をつけてくれる)ことにより、T細胞がより多くのウイルスが作ったタンパク質を攻撃できるようになります。

つまり自然感染後はスパイク タンパク質以外に対しても免疫を持つことになるので、ひどい感染症、あるいは亜種に感染した場合により高い免疫力を持っている可能性がある、とエジンバラ大学の免疫学者、Riley教授が話していました。

また抗体についての説明もありました。

抗体には2種類あり、1つは鼻や肺に存在する免疫ブロブリンAs、もう1つは血液中の抗体、免疫グロブリンG。前者の方が感染に対する防御壁としてより重要だそうです。このため、現在の腕に打つ筋肉注射ではなく、鼻から注入するワクチンも研究されています。

ここで以下2つの疑問が上がってきます。( …と記事は続きます)

  1. すでに接種済みの大人は3回目が本当に必要なのか、ウイルスに晒されているのでもう十分ではないか?
  2. 子供たちはワクチンが本当に必要なのか、それとも生涯にわたって(ウイルスに)晒されていくので免疫防御力を身につけていくのではないか。

ウイルスに感染するたびに免疫システムが少しずつ強くなっていくのであれば、これからずっとワクチンを投与し続けるよりも、この自己免疫を強化させる方がより簡単でコストもかからないのでは、と先述の(怒っている)Finn教授は語っています。

子供に関してはもう半数近くが感染していて重症化していないことがわかっているそうです。なので必要ないのではと言うのが彼の意見です。

ところが真逆の意見も出ており、Riley教授は子供たちのLong Covid(症状がいつまでも続くこと)を指摘し、インペリアル カレッジのOpenshaw教授は子供たちの器官に与えるかもしれないウイルスの長期的な影響について心配しています。

Riley教授は「ワクチンは重症化を防ぐ効果がある、その後感染することで(軽度で済み)免疫反応を広げることができるのでやはりワクチンは効果がある。」と語っています。

また、ウイルスが拡散し続ければ継続的なブースター効果があるのと同じ、と言うのがKlenerman教授の考えです。

この記事はコロナにかかった場合のウイルスや免疫システムの動きがわかったのでとても勉強になりましたが、50歳以上を対象にした3回目のワクチンは本当に必要なのか、子供への投与が必要なのかは疑問になってきてしまいました。

9月から3回目の投与を開始すると宣言したJavid保健相の今後の発表が気になります。

From: Getty Image

作成日:8月22日 参考記事:https://www.bbc.co.uk/news/health-58270098

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