約5人に1人は「いじめ」が原因で会社を辞めている?
今年に入ってから副首相のドミニク ラーブが部下をいじめていたらしいという記事が何度かニュースのトップを飾るようになっていました。
1月末に税金未支払いがバレて解雇されてしまったナディーム ザハウィ元幹事長に続き、次にスナック首相によって解雇されるのはドミニク ラーブではないかとも言われています。
そんな中今朝のBBCで「ドミニク ラーブ氏のいじめに関する調査が最終段階へ」という記事を見つけました。
上級弁護士のアダム トーリー氏主導による調査では、すでにドミニク ラーブ本人を含む数十名からいじめに関する証拠を集めたようですが、本人は強く事実を否定しています。彼によると「教育していただけだ」と。よく聞く言葉です。
アダム トーリー氏は多くの人と面談をして、集めた資料をまとめている最中。その中には確かにいじめがあったとされる記述も、まったく無かったという正反対の記述もあるとのこと。それら全てをスナック首相に提出し、最終判断は首相が下すことになるそうです。
ラーブ氏は完璧主義であるために部下にも完璧を求め「時には他のスタッフがいる前で部下を怒鳴りつけたり、泣かせたり、提出した書類を目の前で破り捨てたりした」という報告もあれば、何度も一緒に仕事をしている人たちからは「悪態をついたり声を荒げたりするのを一度も見たことがない」「いつも仕事に集中していて、とても親切で勘が鋭い人」という称賛の声も届いています。一体どっちが本当?
さて、いじめについて少し調べてみたところ、それが原因で会社を辞めた人が約5人に1人いるとわかりました。今回私が調べたのはフォーブスというアメリカの経済雑誌とスマート ペンションというイギリスのペンションプロバイダーが書いた記事です。
アメリカのフォーブスが3,400人のフルタイムで働いている会社員を対象に職場でのいじめに関するアンケートを取った結果が以下のことがわかりました。
- 37%の女性はいじめにあったことがあると答え、男性は22%
- いじめは同僚、あるいは上司からによるものが半数、4分の1は直接の上司ではないが目上の人から
- 加害者(いじめる方)は大抵の場合1人、5分の1弱は集団からのいじめにあった(あっている)
- いじめられたと報告する公務員の割合が会社員(28%)に比べて約2倍の47%
そしてこのいじめを解決しようと本人に直接交渉したところ、半数近くは「何も変わらなかった」と答え、11%は「いじめが悪化した」と答えていました。また32%の人が人事部に報告したけれど、そのうちの58%、つまり過半数以上が「人事部は何もしてくれなかった」と答えていました。そして20%の人がいじめが原因で会社を辞めているそうです。
これは私個人の推察ですが、いじめが理由だと会社側に言わずに辞めて行った人も多いのではないかと思います。
次に調べたイギリスのペンションプロバイダー、スマートペンションの記事には以下のことが書いてありました。
- 10人中6人が職場でいじめを目撃したことがある、あるいはいじめにあっている
- いじめを目撃した2,000人のうち、48%は何もしなかった(見て見ぬふり)
- いじめのうち68%は同僚を仲間外れにするなどさりげない行動
- 20人に1人が同僚同士の「言葉や態度ではなく」暴力を目撃したことがある
- 怒鳴る、突き飛ばす、威嚇する、脅迫するなどの行為も報告されている
この記事には「学校を卒業すればいじめっ子に会うことはないという認識があるけれど、残念ながらそうではなく、年齢、環境を問わず問題になっています。実際、職場でのいじめは想像以上に日常的なものです。職場でのいじめに関する電話サービスのACASには1年間で約20万件の問い合わせがありましたが、それ以外にも多くの人が同僚や上司からひどい扱いを受けることを恐れて電話すらできないまま仕事をしています」とも書いてありました。
またその記事の中で、ワーウィック ビジネススクールのファーファリー教授は「いじめは職場のあらゆる階層で起こりますが、最も多い加害者は管理職です。この種のいじめはパワーバランスが不均衡であることが原因で発生することが多く、管理者が威圧的な手段で部下の行動をコントロールしようとします」と発言していました。まさにパワハラ?ドミニク ラーブ氏の行動がこのパワハラかどうかを判断するのが首相の大事な仕事になりそうです。
上司や職場の先輩が部下や新入社員を指導するのは当然のことですが、どこまでが教育でどこからがその線を超えてしまったいじめなのか。窓際族も一種のいじめでしょうか。
指導とはいえみんなの前で罵倒されたり、無視されたり、意図的に無意味な仕事を言いつけられたり、他の人のミスを自分のせいにされたり、無能な人間呼ばわりされたり、またその行為が何度も執拗に続くと精神的にとても辛いと思います。
この世の中からいじめが無くなり、多くの方が朝起きて明るい気分で職場に向かうことができるようになりますように。
作成日:3月6日
参考先URL:https://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-64834813、https://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-64492026、Forbes: One In Five Workers Has Left Their Job Because Of Bullying、https://www.smartpension.co.uk/news-and-media/how-to-handle-workplace-bullying
アイキャッチ画像:Photo by Sigmund on Unsplash
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