イギリスの若者のニートの数は日本の4倍?

少し前の記事になりますが、ニートと呼ばれる「学生ではなく仕事もしていない」16歳から24歳の若者の数が2024年4月から6月の期間では87万人になったという記事を見つけました。前年の同期に比べて7万4千人増加したそうです。

ニートという言葉は日本でもよく耳にしますが、このニートは英語で書くとNeetで、Not in Employment, Education or Trainingの略です。

労働党政府はこの異常なレベルのニート数を減らそうと、若者を対象に技能実習や研修の機会を増やしているところです。

日本ではどのくらいの若者がニートなのだろうかと調べたところ、2023年の15歳から24歳までの数は26万人だったようです。ざっくり計算すると日本の人口はイギリスの倍、それなのにニートの数は日本が約半分(あくまでおおまかです)、ということはイギリスの若者のニート数は日本の4倍⁉︎

政府がニートを減らして就職させようとしているのは、やはり所得税収入が欲しいから、そして失業手当、収入助成金、住宅手当、などをひとまとめにしたユニバーサルクレジットによる支出を減らしたいからでしょう。

OBRという国の予算担当局の推定では、このユニバーサルクレジットに昨年費やした金額は80.9億ポンド(約1.5兆円)で、なんと防衛費の54.2億ポンド(約1兆円)を大幅に上回っていました。

16歳から24歳の若者の中では全体の12.2%がニート。そしてニートには2つのタイプがあり、失業中(積極的に仕事を探しているけれど見つからない)と経済的に不活動(仕事を探していない)に分かれます。また66%が後者の経済的に不活動のタイプに属しているそうです。

経済的に不活動な人は若者に限ったわけではなく、現在約940万人ほどいて、中には学生(なのでニートではない)、65歳以下で退職した人、介護中で就職できない人がほとんどで、OBRによると、その中の2割は就職を希望しているとのことです。

OBRからBBCに提供された報告書によると以下のことがわかりました。

  • 地域によってニート率に大きな開きがあり、イングランドの北東部ではニート率が15%で平均の12.6%を上まっている。
  • 19歳から21歳の中でケアシステム(何らかの保護、擁護)を受けた若者は受けていない若者に比べて3.5倍ニートになる傾向がある。
  • 若者がニートになる確率は20年間で若干減っている(2002年は15.3%、2024年では12.6%)。
  • メンタルヘルスに問題があって就職できない若者の割合が10年間で2倍に増えて昨年は19万人。

支援団体の一つ、ユースフューチャーズ財団のバリー氏は、「学校を中途退学してしまったり、卒業してもなかなか就職できずにいる若者は、10年後もまだ失業中である場合が多い。そして彼らはまた低賃金の労働のままでいる可能性も高い」そうで、そうならないための訓練の機会を提供しています。

中には登校できず家にいる子供達を訪問して手助けをしている方達もいるそうで、その1人はニートになりそうな少年の家を訪問してから彼が口を聞いてくれるまで数ヶ月かかったとか。辛抱が必要な仕事のようです。その少年は学校にも毎日通うようになり、自分はパン作りに向いていることがわかり、将来はパン屋さんを開業し、店舗をイギリス中に拡大するという夢も持ち始めました。

1人でも多くの若者が必要な手助けや訓練を受けて、ニートから抜け出せることを願っています。

Photo by Josh Beech on Unsplash

作成日:2024年8月30日

参考先記事URL:https://www.bbc.co.uk/articles/cz55mjj4rlgohttps://www.bbc.co.uk/news/articles/ckmg5173kkyohttps://www.717450.net/special/knowledge/neet_npeople.html

アイキャッチ画像:Photo by Annie Spratt on Unsplash

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