（去年の）クリスマスパーティーで（今頃）大騒動のイギリス

11月30日にイギリスの新聞社（Daily Mirror）が昨年末に首相官邸で行われたクリスマスパーティーについての告白記事を掲載してからと言うものの、それから毎日各新聞のトップ記事でこのパーティの件が掲載されていましたが、首相はかたくなに事実を否定し続けていました。ところが昨夜はとうとう動かぬ証拠となった映像がTVで、そしてその後ネット上で流れてしまったため、さらに大きな騒ぎとなっています。

なぜこれほどまで大騒ぎになっているかと言うと、1番の理由は、そのパーティーが行われた12月18日はロンドンはTier3の地域だったため、同居している家族以外は屋内では会ってはいけないというルール下であるにもかかわらず、そのルールの発信元である議員達がルールを破っていたからです。

どこかの国でも緊急宣言発令中に数名で会食をしていたというニュースが報道されて騒いでおりましたが、今回の場合は約40名ほどが集まって、食事とアルコールが提供された他、パーティーゲームを夜中まで楽しんだとか。そうなると、同じぐらいの時期に秘密裏にパーティーを開いていて警察に見つかって数名逮捕、1万ポンド（約150万円）の罰金を払っていた責任者よりももっと重たい法律違反を政府自らが行なっていたというとんでもないことになります。

違反をしたのはもちろん悪い事ですが、何が一番国民を怒らせている、あるいは悲しませているかというと、そのパーティーの翌日にはジョンソン首相が「クリスマスの時期だけは例外として同居していない家族でも2家族までは会ってもいい」と言っていたのを撤回し、「やはり同居人の家族以外は集まってはいけない、でも今は大切な時期なので我慢して欲しい」と発表したからです。それにより楽しみにしていたクリスマスの計画が全てキャンセルになり、多くの方々が寂しいクリスマス期間を過ごすことになってしまいました。

さらには病院やケアホームにお見舞いに行くことも禁止されていて、不幸な人は家族に最後のお別れを直接言うこともできず、それでも必死に感染予防のために我慢していたのに、なぜこんなことが？

昨日テレビとネットで公開された映像は、12月22日に記者会見の予行演習を撮ったものでした。その当時首相の報道官だったアレグラストラットン氏は、記者のふりをした仲間が「首相官邸でクリスマスパーティーがあったと聞いたのですが本当ですか？」と質問したのに対し、最初は「え？私は帰宅しちゃったから。」と笑いながら答え、その後に、「えーと、どうやって答えたらいいの？」と聞き返し、「ビジネスミーティングだった」とか「チーズとワインの夕べだった」「ソーシャルディスタンスは保たれていなかったわ」といった発言がしっかり録画されていました。

もちろんこの映像が国民の怒りをさらに大きくしたのは言うまでもありません。残念なことにこの発言をしたストラットン氏は先ほど涙ながらに謝罪をし、辞職したとの報道がありました。その様子ももちろんネットで報道され、読み上げた原稿もアップロードされているので誰でも読むことができます。

1年も前のことだからもうこれ以上騒ぐ必要もないのではないかと思いますが、この「戦い」はもうしばらく続きそうです。と言うのはこれだけ動かぬ証拠が出ているにも関わらず、首相はまだパーティーは開かれていなかったと言い張り、映像の件では謝罪をしたものの、Covidルールは遵守されていたと言っているからです。

またこのクリスマスパーティーの他にも、その数週間前に教育相のギャヴィンウィリアムソン氏がスタッフの退職時にさよならパーティーを開いたとの事実も（今頃）告発されて、そちらも問題になっています。

どこの国の議員もパーティ好きなのは同じ？

ちなみに警察のデータによると、2020年3月から2021年10月までの間に、ルールに違反した者に対してイングランドとウェールズの警察から合計118,483件の罰金が課せられました。そのうち371件が30人以上の集会を開いたことに対しての罰金で、上記の１万ポンド（約150万円）の罰金も含まれています。

こんな大騒ぎの中、変異株を含む感染者は増え続けていて、今日も51,342名の新たな感染者が見つかったと先ほど（16:40) 発表されました。

そこで感染予防の新たな対応策が必要になる可能性があるものの、今後はいかなる対応策を法律で決めても、トップに立つ人達が守らないのであれば、誰も守らないのではないかと危惧されています。

首相も議員さん達も他に重要な仕事がたくさんある（はず）なので、この件は一日も早く解決して、ちゃんと溜まったお仕事を、それこそクリスマスと年末の長い休暇に入る前に片付けて欲しいです。