人生初のオペラ鑑賞「カルメン」、ところが!?

先週の金曜日に初めてオペラ鑑賞に行ってきました。場所はロンドンコロシアム劇場でENO(イングリッシュ ナショナル オペラ)による公演。「有名なロイヤル オペラ ハウスではないのね」と思いつつ、ウォータールー駅から歩行者専用のゴールデンジュビリー橋を渡って公演会場へ。

会場内は赤とゴールドを基調とした重厚なインテリア。席は前から4番目なのでオーケストラボックスの演奏者の顔も見える距離でした。チケットはプレゼントされたのでギリギリまでクラシックオペラを観に行くと思っていました。たとえばこの新国立劇場でのカルメンのような。

https://www.youtube.com/watch?v=ulWFtoU1v-k

期待感が膨らんだところで幕開け。兵隊が並んで登場している最初のシーンでは男性の迫力のある合唱が聞こえてきましたが、どういうわけかパンツ一枚だけの兵隊が銃を背負ってステージを何回も走っていました。そして力尽きて倒れてしまったその兵隊は仲間によって引きずられて退場。「今のは一体何?」「これはミュージカル?」と頭の中ではクエッションマークがぐるぐると。後から調べたところ、罰則で倒れるまで走らされていたようです。また引きずられたのは、牛が闘牛士によって殺されると引きずられて退場するのを再現したとか。

その後カルメンが登場し、有名なハバネラを歌った時はその美しい歌声にため息が出ました。他にも聞いたことのある有名な曲が何曲か流れ、パンツ一枚の不思議な兵士のことは頭から離れて音楽にのめり込んでいきました。

休憩の後に再び幕が開くと、なんと男性兵士が暗闇の中で服を脱ぎ出し、今度は最後の一枚も脱ぎ捨て、ステージの端から端までしなやかに移動し、たまに下腹部を両手でパパンと叩き、東西南北全部カバーした後に退場。またしても「今のは一体何?」状態に。こちらも後から調べたところ、闘牛士が闘牛前に練習をするところを再現したのだそうです。何故全裸だったかというのは、美しいのは女性だけではなく男性も鑑賞するに値することを伝えたかったとか。そして一皮剥けば、兵士は野蛮ではなく美しいとも。

他にも何故かクリスマスツリーが車の中から出てきたり、セルフィーを撮る場面もあったり、と謎だらけではありましたが、歌声と演奏は素晴らしく、会場は大きな拍手に包まれてのエンディングとなりました。

会場からは大きな拍手、出演者の笑顔が素敵でした。

クラシックオペラを観に来たはずが、1970年代を舞台にした新しいバージョンのカルメンだと知ったのは後になってからでした。会場でも、後ろの席で私と同じように戸惑っていた人もいました。そして裸踊りに度肝を抜かれた人は大勢いたようで、帰り道でも大きな声であれは一体なんだったの?という会話が聞こえてきました。

出演者の略歴を調べてみるとカルメン役のジンジャー コスタージャクソン氏は普段はニューヨークにあるメトロポリタン オペラの歌姫。ホセ役のショーン パニッカー氏はアメリカ人のオペラ歌手でした。だからやっぱりミュージカルではなくオペラ。そして失恋したミカエラ役のジェマ サマーフィールドがソプラノで切ない想いを歌った時は迫力があり、その音量に会場が震えていました。

楽しいひと時でしたが、社会問題を取り込んだ現代版オペラではなく、次回は正統派のオペラに行ってみたいと思いました。

ロンドン コロシアム、
ゴールデンジュビリー橋からの眺め。セントポール寺院が遠くに見えました。

作成日:2月20日

参考記事URL:https://operatoday.com/2023/02/carmen-at-english-national-opera/On a knife-edge: Calixto Bieito’s Carmen returns to English National Operahttps://www.operaspy.com/blog/2020/1/31/carmen-bizet-english-national-operaOppressive Masculinity; Bieito’s Carmen at ENORachvelishvili and Beczala lead an impressive Vienna ensemble as Bieito brings enhanced dramatic intent to Carmen

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