
コラーゲン、あなたは飲む派、塗る派?
少し前になりますが、BBCに興味深い記事がありました。タイトルは「コラーゲン:飲む?打つ?肌に塗る?それで効果はあるの?」
コラーゲンは実は体内で最も豊富なタンパク質で、肌のハリを保ち、関節や骨を強くし、髪や爪を健康に保つのに役立っているそうです。
そして一部の皮膚科医は「避けられない時がきたときに備えて早い段階でコラーゲンの供給源に投資し、余剰を蓄えておくこと」を推奨しています。
避けられない時、というのはエイジング、年をとることです。体内で自然に作られるコラーゲンは20代の半ばから後半にかけて平均で年に1%ずつ減少してきます。これが25歳から始まるのか、30歳直前からか、また加速する減り具合などは、どれだけ日差しを浴びるか、そして食生活、ストレスレベルによっても違うそうです。
では本当に体外からコラーゲンを蓄えることなんてできるのでしょうか?科学的根拠は?またもしもそのような方法があるのなら、体内に取り込む最善の方法は何でしょう?
同記事内には33歳の女性の例が載っていました。彼女は3人の母で、3番目を産んだ時に未熟児だったこともあり睡眠時間が足りなくなり、肌がボロボロになってしまったそうです。そこで魚から摂ったマリンコラーゲンを飲み始めたところ、肌は明るくなり髪にも艶が戻り、明らかに効果があったとのこと。
ところがロンドン在住の皮膚科医エマ・ウエッジワース氏によると、コラーゲンを飲むことで効果があるという研究結果はあるものの、疑わしいとのこと。体内に入ったコラーゲンは体の中を旅をして、効果が出ることを期待している箇所(爪とか髪とか)に上手く辿り着けるなんて一種の願望に過ぎないのでは、と。
目的地に辿りつくにはまず完全に分解されることなく腸を通過しなければならないし、現代の技術でこの腸壁を通過し血流に入る可能性が高くなったとはいっても、まだその先の道のりは長いまま残されています。また爪などの最終目的地に着く前にこぼれ落ちて他の臓器に行ってしまう可能性もあるとのことです。
ただ、信頼できる証拠はほとんどないものの、皮膚は細胞が一番早く入れ替わる部分であるため、他の器官よりも体内に取り入れられたコラーゲン利用する可能性が高いという説もあるそうです。
では肌に直接塗るコラーゲンクリームはどうなのでしょう?直接肌に塗るのだから必要な場所に届く可能性は高いはず。
でも先ほどのウエッジワース氏は「いいえ、クリームはダメ」と否定しました。コラーゲンは皮膚の表面にとどまるだけで、真皮(中間層)まで到達しないので効果はないそうです。

さて、今回初めて知りましたが、コラーゲンは3種類あるそうです。先ほどの魚から摂るマリン(海洋性)コラーゲン、牛から摂るボビンコラーゲン、そしてビーガンコラーゲン。
このうち皮膚科医が経口接種を推奨するのはマリンコラーゲン。その理由はタイプ1コラーゲンを多く含むからで、最も一般的で皮膚細胞だけでなく骨、腱、などの構造を支えるそうです。なおビーガンコラーゲンは最も効果が低いとのことです。コラーゲンは動物由来のタンパク質であるため、ビーガン製品はコラーゲンでできておらず、代わりにアミノ酸やビタミンを含んでいるそうです。つまりコラーゲンもどき?
ではいったいどのコラーゲンをどうやって摂ったらいいのでしょう?
NHSトラストの皮膚科専門医であるファイサル・アリ教授は、消費者や臨床医が直面する問題のひとつにはサプリメント研究における矛盾する情報と相反する利害関係の多さだと述べています。
最近の小規模な研究によると、健康関連企業から資金提供を受けた機関による研究と受けていない機関の研究結果を比較したところ、資金提供を受けている研究結果はコラーゲンサプリメントが肌の水分量、張り、シワを大幅に改善すると示唆された一方、提供を受けていない研究では肌への効果は認められなかったとか。
アリ教授は、資金提供を受けている研究が全く悪いわけではないが結果にばらつきがあることを指摘しています。そして経口や外用コラーゲンに実質的な効果があることを示す確固たる証拠は不足しているとも。
BBCの記者が「もし時間を遡って20代からコラーゲンを摂取・蓄積していたら、今より滑らかで若々しい肌になっていたでしょうか?」と尋ねたところ、おそらくそうはならないという答えでした。コラーゲンは体内にそれほど長く留まらない、必要な時にいつでも取り出せるコラーゲン貯蔵庫なんて存在しないんですと答えていました。
そのアリ教授は、レーザーによるコラーゲン刺激やマイクロニードリングという特別な技術を用いることで、コラーゲンの生成を促進し、肌の弾力性を維持する可能性があるとのことでした。これは多数の微細な特殊針やレーザーを用いて皮膚に微少な傷をつくり、その傷を修復するプロセスを促すことで新しいコラーゲン形成を引き起こすのだそうです。
ただし費用は高価で、1回の施術で最大300ポンド(約4万5千円)かかるのだそうです。ではより低コストの代替手段はあるのでしょうか?
アリ教授によると、肌のためにできる最善策は信頼できる日焼け止めを使用することだそうです。日光が肌の老化に多大な影響を与えていることは周知の事実です。「日焼け止め、健康的な食事、喫煙者は禁煙すること。これらはコラーゲンサプリメントよりもはるかに大きな効果をもたらします」とのこと。
マリンコラーゲンが切れたので、Amazonで注文しようとしていたところでしたが、とりあえずキャンセルしました。

追記:コラーゲンは英語ではCOLLAGENですが、コラジェンに近い発音になります。
作成日:2025年10月9日
参考先記事URL:https://www.bbc.co.uk/news/articles/cjr5zj12ye1o
アイキャッチ画像:Photo by Ela De Pure on Unsplash
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