Marks & Spencerからスーツが消える日
Marks & Spencer(M&S)は254の大型店舗の半数以上でメンズ用スーツの販売を止めることになりました。
パンデミック前からスーツよりも上はブレザーで下はチノパンのような「スマート セパレート」が流行り出していたそうですが、M&Sのダイレクターはコロナによってさらにスーツ離れに拍車がかかったと語っていました。今後スーツ売り場がある店舗は110の大型店舗のみになるようです。
スーツの売り上げはマーケットリサーチ会社のKantar Groupによるとこの5年で230万着ほど落ちています。2017年の7月までの1年間に430万着売れたスーツが2020年8月から2021年7月までは200万着、と約半数。すでに2019年にはスーツの売り上げが下がっていることがThe Sunday Timesで報道されていましたが、当時は前年に比べて7%だけでした。
2020年春のロックダウン後、最初の2ヶ月間ではM&Sのスーツは7,500着しか売れず、前の年の同じ時期と比べると80%も下がりました。その代わり短パンやジョギング用パンツの売り上げが伸びたようです。
M&Sによるとロックダウン解除後は外出の機会も増え、結婚式なども挙げられるようになったのでスーツの売り上げは少し伸びつつあるけれど、やはりスマート セパレートが主流になっているとのこと。スーツのジャケットの下にチノパンやジーンズは穿けず、ジャケットの下は同じ素材のボトムと決まっていますので、それに比べるとブレザーとチノパンの組み合わせの方が便利だし、気分や機会によって色も素材も変えられますね。
前述のKatar社の調べによると売上高は、2011年には£534m (約800億円)だったのが、今年の7月までの1年間では £159m (約240億円)まで下がったそうです。
女性のスーツは、と言うと、メンズほど下がっているわけではなく、2017年に60万着売れたのに比べ今年の7月までの1年間に50万着だったとか。女性は在宅勤務でもビデオ会議の時はスーツを着用するのでしょうか?
M&Sは今後もほとんどの衣料品を扱う店舗ではメンズのシャツやネクタイの販売は続けるそうです。
また約700店舗ある中でほとんどが食料品だけ扱っていますが、スーツをオンラインで注文した際にお店で受け取ることができるとのことでした。
M&Sではパンデミック中にオンラインによるコンサルテーションも開始し、どんなスーツを選んだらいいか迷っている男性の相談に乗っているそうです。
また8月20日の記事によるとM&S全体の売り上げは12%上昇しました。これは2020年の春に「Never the Same Again」という大改革でオンラインセールスに力を入れ、数店の店舗を閉めてコストカットをしたためだそうです。
大手スーパーマーケットもいち早くオンライン注文・配達の仕組みを充実させたスーパーと乗り遅れたスーパーで大きな差が出ていました。
家族がここ数年でM&Sの紳士服売り場のスペースがどんどん小さくなっていく、とぼやいていましたが、更に狭くなるようです。
作成日:8月30日 参考記事:https://www.kantarworldpanel.com/en/grocery-market-share/great-britain、https://www.bbc.co.uk/news/business-58374306
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