マクドナルドからミルクシェイクが消えたイギリス
以前から問題になっている大型トラックの運転手不足により、昨日はついにマクドナルドの1,250店舗でミルクシェイクとその他のソフトドリンクが提供できないという事態が起こりました。
先週はNando’sと言う鶏肉料理専門店で鶏肉不足のために50店舗近くが臨時休業。マークス&スペンサーではPastry(菓子パン)がパンコーナーから姿を消しました。熊の形をしたグミで有名なHariboもイギリスに供給できず困っているようです。冷凍食品専門のスーパーもオンラインでの注文に応えられず1日に30から40件は配達をキャンセルしています。
影響を受けているのはレストランや食品業界だけではなく、工場でも記録的とも言える部品不足が相次いでおり、大手石油会社のBP (British Petrol)はガソリンやディーゼル不足で臨時休業したガソリンスタンドもあったようです。
これらの原因は他にも「多くの従業員が自主隔離せざるをえなかった」(いわゆるピンデミック)なども挙げられますが、やはり運転手不足が1番の原因になっているようです。
その大型トラックの運転手ですが、現在約10万人不足しているそうです。もともとパンデミック前も6万人不足していたのがパンデミック、ブレグジット、イギリスの税制改定などで膨れ上がってしまいました。
パンデミック中には大型トラックの運転免許を取りたくても3万回試験がキャンセル。また14,000人のヨーロッパ各国から「出稼ぎ」に来ていた運転手がイギリスを離れ、その後600人しか復職しなかったそうです。その中にはブレグジット後にイギリスに戻りたくてもビザがないので戻れない運転手が大勢います。大型運転手はSkilled Job(特別なスキルを持っている職業)に該当しないためだそうです。物流会社のオペレーションマネージャーのChegwidden氏はこれに反対し、「運転手はスキルを持っているし、試験に合格し、能力適正の証明書がなければ仕事に就けない、自分はそれらがなくても仕事ができているのに」と。
またIR 35と言う税制の改定により、「フリーランス」のヨーロッパからの運転手たちが今年の4月からは税金を高額納めなくてはならなくなり、これもイギリス離れの原因となっています。
この運転手不足を解消する為、現役の運転手たちは長時間労働をすることになり、これも問題。体力に限界を感じた運転手たちは離職してしまいそうです。
なお、離職を防ぐ為に彼らの給料は急上昇中ですが、その結果大型のゴミ回収トラックの運転手達が転職してしまい、今度はゴミが回収できない市役所も出てきてしまいました。民間と違って簡単に運転手だけの給料を値上げするわけにもいかないので、困っているようです。
対応策としては、政府に大型トラックの運転手を特別なスキルを持っている職業に認定しビザを発行してもらいヨーロッパから運転手を呼び寄せること、国内で若手の運転手育成に力を入れること、運転免許試験の回数を増やすこと、などがありますが、即効性は期待できないのでしばらくは物不足が続くかもしれません。
気の早い話だと思いましたが、クリスマスに品不足になることは避けられないと言う記事も今朝見つけました。食料品もですが、人気のあるオモチャも手に入らなくなる可能性があるとのこと。でもまだ8月の今、子供に「前倒しでサンタさんに手紙を書いて」とも言えずに困っている親がいるかもしれないですね。
なお、トラックの事を考えながら窓の外を眺めていたら、目の前に巨大なトラックが!我が家の周りはほとんど車が通らない住宅地なのですが、そこに荷台を2個もつけたトラックが道に迷ったらしくバックしていました(画像の下のトラック)。運転手不足を補うために2台分の量を1人で運ぶと言う対応策の一種でしょうか?こんな細い道無事に抜け出せたのか、路上駐車中の車にぶつからなかったのか、思わず尾行したくなりました。
作成日:8月26日
参考記事:https://www.bbc.co.uk/news/business-58315152、https://www.bbc.co.uk/news/57810729、https://www.dailymail.co.uk/news/article-9927671/Whats-really-driving-food-shelves-HARRY-WALLOP-goes-scenes-investigate.html
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