英新首相争い、優勢だったスナック氏が負けた理由

7月に行われた約350名の保守党議員による「8名の首相候補者の中から毎回1名を振り落とす5回にわたる投票」では常に1位で最後の2名に残っていたリシ スナック氏は、夏休み返上で選挙活動をしていたにもかかわらず人気がジリジリと下がり、最終的にはリズ トラス氏に負けてしまいました。

なぜ同僚議員からは支持を受けていたのに、敗北?と思って調べたところ、大雑把に言うと「彼は金持ち過ぎた」のが敗因。

またトラス氏が「即刻税金をカットする」と公約していたのに対し、彼は「まずインフレーションを解決してから税金をカットする」と宣言したので、重い税金を課せられて苦労している納税者の反感を買ってしまったようです。

結果トラス氏は約16万8000人の保守党員のうち8万1326人の支持を得て当選、スナック氏は6万399票。投票率は82.6%でした。今年の参議院選挙の投票率52.05%に比べると高いですが、投票権があったのは保守党員のみで、イギリスの総人口(約6,850万人)に比べるとごくわずかでした。

スナック氏が首相になれなかった「金持ち過ぎ」。奥さんがインドの大IT企業のご令嬢で、エリザベス女王よりも金持ちだと言うことが公表されました。おまけに多額の持ち株の配当金を受け取っているにもかかわらず納税をしていないので、脱税の疑いもかけられたのですが、奥さんは「非定住者」なので税金を払う義務はない、つまり脱税ではないことがわかりました。そして「義務ではないけど払うわ」と、税金を納めたのですが、「なんでイギリスに住んでいるのに非定住者なの?脱税対策では?」とここでも反感を買うことに。それも財務大臣だったスナック氏が所得税を引き上げた直後だったので間が悪過ぎました。

もう一つの理由は「誰もブルータス(裏切り者)を支持しない」と言うことらしいです。ジョンソン首相は一連のパーティーゲートでも退任することなく踏ん張っていましたが、ついに退任に追い込まれたきっかけが、スナック氏の財務大臣辞任事件。その後は芋づる式に大臣や閣僚が次々と辞めて、ついに退任へ追い込まれました。ジョンソン首相は自分を裏切ったスナック氏に向かって「ブルータスお前もか」と呟いたのでしょうか。

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またトラス氏とのテレビ討論会では、何度かトラス氏の発言を遮って、おまけに経済などの説明をする際、彼女を見下したような口調だったため、多くの女性の反感を買ってしまったようです。

他にもゴシップ化してしまいますが、この光熱費の高騰でほとんどの国民が苦しんでいる8月には、大きな屋内プールとテニスコート付きの邸宅を新築中と写真付きで記事が掲載されました。普段は首相官邸の真上に住んでいますが本宅はイングランド北部にあります。他にも工事現場を視察した際に£500(85,000円)のプラダのローファーを履いていたとか、£200(33,000円)もするマグでお茶を飲んでいたとか、£3,500(58万円)のスーツを着ていたとか。

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そこで「庶民とは別世界に住んでいるスナック氏は首相にふさわしくない」と反感を買い続けてしまったようです。実際私の周りのイギリス人に「どうしてスナック氏は首相にふさわしくないの」と聞くと、ほぼ全員が「He is too rich」と答えていました。

今後も議員として政界に残ると話していましたが、実際にはどうなるのでしょうか。ジョンソン首相はジャーナリスト、スナック氏は資本金がたっぷりあるので起業家に転職?

Photo by Andre Benz on Unsplash

作成日:9月6日

参考記事URL:https://edition.cnn.com/2022/09/05/uk/new-british-prime-minister-liz-truss-intl-gbr/index.htmlThe GuardianWIONhttps://www.gov.uk/tax-foreign-income/non-domiciled-residentsCNN

アイキャッチ画像:Photo by Jordhan Madec on Unsplash

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