トラス首相が退陣する3つの方法
リズ トラス氏が首相になってまだ40日余りですが、前財務相がミニ予算で大幅な減税対策を発表した直後に世界中の株式市場を混乱させたことで、彼女が舵を取る船は大きくぐらつきました。その後にその財務相を解任したことでさらに傾き、沈没するのは時間の問題と言われて数日が経過しています。
そんな中、今朝のBBCで「保守党の議員たちはどうやってリズ トラス首相を追い出すのか」という見出しの記事を見つけました。数ヶ月前にジョンソン首相を追い出したばかりなのに、またしても身内が身内を追い出すことになるとは。
3つの方法は以下でした。
その1:トラスが自ら辞任
これは保守党の議員たちにとっては最もシンプルでクリーンなオプション。
今の所、トラス首相に辞める意志は全くないようですが、自分にも責任があるのに前財務相を解任したこと、選挙時の公約や、ミニ予算で約束した減税対策などが次々と新財務相のハント氏により撤回されてしまったこと、などで彼女の面目は潰れてしまったので、多くの議員たちが退陣を要求した場合は追い出される前に自分から辞める可能性あり。
自ら辞めない場合は、大臣たちが次々と大臣職を退くというやり方もありますが、これは数ヶ月前にやった方法。今のところ彼女の側近は忠誠を尽くしているので可能性は低いようです。
その2:ルールを変える(そして追い出す)
現在の保守党の規則では、トラス首相は就任後1年間は信任投票から逃れるようになっています。この規則を変える可能性も出てきました。
どれだけの議員が不信任案を1992年委員会に提出するかによります(この1992年委員会というのは保守党所属で内閣・影の内閣に所属しない議員全員がメンバーで、議会が開かれている間毎週会合を行い、内閣・影の内閣に対する意見を議論し、また保守党党首を選出するのが彼らの仕事だそうです)。
もしも不信任票が多く集まった場合は、この規則を変えることもできてしまいます。その際はまた立候補者を募り、最後の2名まで絞り、と数ヶ月前と同じプロセスを踏むことになります。でもまた第1ラウンドで1人、次にまた1人、と振り落としていくのは時間がかかるので、もしも同じ方法を取ることになった場合は、通常8名の支持者が必要のところ、前回は急いでいるので20名の支持者がないと立候補できないようにしましたが、今回はもっと急いでいるので100名の支持がないと立候補できないようにしようという話が出ているそうです。なんだかメチャクチャなルールですね。
その3:総選挙
もしも保守党が自力で首相を解任できない場合は総選挙の可能性も出てきます。
国会で政府に対する不信任案が過半数を上回れば、「首相は辞任するか、国王に議会の解散を要請し、総選挙を行うことが予想される」と記載されていました。国王の出番?
ただし、保守党の議員は自分達の政府を自分達で倒すために投票する可能性は極めて低いと見られ、過半数を上回るのは難しそうです。
ところでトラス首相の記者会見の動画を観ましたが、かなりまばたきが多いのが気になりました。そこで調べてみたところ、発言する際にまばたきが多いのは緊張している時や嘘を言っている時によく起こる現象だという記事を見つけました。
トラス首相、本当に大丈夫でしょうか。
作成日:10月19日
参考先URL:https://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-63289517、https://en.wikipedia.org/wiki/1922_Committee、Nonverbal Signs of Lying
アイキャッチ画像:Photo by Yaopey Yong on Unsplash
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