燃料貧乏が深刻化しているイギリス

1年近く前に「ガス料金値上げによる『燃料貧困層』の増加」と言うブログを書きました。それから2回目の冬を迎えるイギリスですが、残念ながら状況は悪化するばかりです。

ガス料金の上限は大幅に引き上げられました。約1年前は12％の値上がりでしたが、今回は80％の値上げです。

平均家庭で年間で£1,971（約32万円）払っていたのが、その80％というと1.8倍なので£3,548（約57万円）。そこで終わりではなく、この80％の値上がりは10月1日から適用されますが、11月24日には次の上限が発表されます。そこでさらに引き上がる可能性もあるのです。逆に下がる場合もありますが可能性としては極めて低いようです。11月24日に次の上限が発表された場合、そのレートが適用されるのは1月1日。値上げになった場合はあまり嬉しくない年明けになりそうです。

この値上げの1番の要因は卸売価格の値上げで、グラフで見ると卸売価格を示す青い部分がかなり増えています。

このため「この冬、子供たちには厚着をさせて登校するように」「光熱費が払えなくなった場合はどうするか」「光熱費の援助が無いと命に危険が生じる」と言った見出しの記事がトップを占めています。

それに今までは低所得者層が特に危ないと言われていましたが、今朝は「財務大臣が中所得者にも支援が必要と発言」したと言う記事が載っていました。

痛い目に遭っているのは一般家庭だけではなく、中小企業もです。夫婦でジムを経営しているエミリーウィルキンソン氏は「毎朝6時からジムを開けているが、一日中音楽をかけているし、電動のトレーニング器具も、スタジオの電気も点けているため電気代が昨年よりも年間にして£6,000（97万円）上がり£18,000（290万円）になる見込みだ」と言うことです。ベーカリーを営むクリスワトソン氏も電気代が33％値上げになり、月平均で£1,000（16万円）余計にかかっているとのこと。こうなると（自分達も含め）小さい企業が続々潰れてしまうと危惧していました。またカレー屋さんを営むサイドアーメッド氏は「昨年のレストランの暖房費は月に£600から£700（97,000円から11万円）だったのが今年の6月には27万円。電気代も約2倍の11万円。借金は膨らむ一方で住宅ローンの組み直しもしなくてはならなかった。家族で経営しているけれど、1月からは給料が払えない状況が続いている」とだいぶ厳しい状況のようです。

そういえば数日前にもフィッシュ＆チップスのお店が続々街から消えていると報じられていました。魚は高騰、じゃがいもも干ばつの影響で高騰、もちろん油も、そして揚げ物をする際に必須のガスや電気代も。そこで店側は値上げをせざるを得なくなりますが、そうなると高過ぎて客足が遠のいてしまい、閉店に。庶民の味方でお財布に優しいフィッシュ＆チップスがいつの間にか贅沢品になってしまったようです。