毎日2軒ずつ閉業するパブ
約1年前にイギリス各地で次々と消えていくパブについてブログ(燃料問題:イギリスで次々と消えていくパブ)を書きました。その主な理由は光熱費の高騰でした。
そして1年経った今、光熱費は相変わらず高く、閉業に追い込まれたパブは依然として増えているようです。
今朝のニュースでは、前四半期(2023年4月から6月末)にはイングランドとウェールズで合計230軒が閉業。その前の四半期の153軒から増えていて、たったの半年間で383軒が姿を消してしまいました。過去最低だった2021年の200軒よりもはるかに上回っています。ちなみに2022年は386軒でした。半年間で去年1年のトータルとほぼ同じ⁉︎
記事を読み進んでいくうちに、パブを閉める原因が光熱費だけではないことがわかりました。もちろん光熱費は痛い出費で、前年度より8割近く値上がりしていました。また法人税も値上がりしています。
そこで経営困難になるパブのオーナーは閉業に追い込まれるのですが、実は宅地開発業者に売って多額の現金を手に入れるオーナーが増えて来たそうです。中には黒字経営のパブや、パブとして次の引き取り手が決まっていた場合も、現金欲しさに手放すとか。
生活のためにはやむを得ないのでしょうが、パブ自体が歴史的建造物であったり、そうでないにしてもその土地で長く愛されてきたパブが壊されてしまうのは地元の住民としては悲しいこと。それらのパブを残そうとする動きも出ていて、政府にパブのオーナーが勝手にパブを手放し、建物を壊して住宅地にするのを防ぐための、もっと厳しい法律を作るべきだと掛け合っているそうです。
この運動に拍車をかけたのが今年の8月に起こった有名なパブの放火事件でした。何者かによってパブが燃えてしまっただけでなく、その数日後には許可もなしにその建物を誰かがブルドーザーで壊してしまったというニュースが流れました。そのパブはピサの斜塔のように傾いていて、イギリスで最もウォンキー(不安定な、傾いている)なパブと言われ名物になっていました。
この事件はまだ警察が取り調べ中ですが、どうも新しくオーナーになった女性実業家が怪しそうです。
パブの発祥は18世紀頃と言われています。その当時から今まで、仕事帰りに仲間と一杯飲みに行ったり、日曜日の教会の帰りに一杯飲んでから家に戻ったり、というのを習慣にしている人も多くいると思います。それらのパブが次々と閉業になり、ひさしぶりに尋ねたところ住宅地に変わってしまったら飲兵衛でなくても寂しいものです。
作成日:9月18日
参考先記事URL:https://www.bbc.co.uk/news/uk-66839984、https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-birmingham-66472000
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