かなり不安定な立場のトラス首相

先週末に財務相が入れ替わり、新財務相に任命されたジェレミー ハント氏は、週末もメディアに登場し、今朝も前任者が発表したミニ予算時での減税対策のほとんどを白紙に戻すという大胆な案を発表。それにより株式市場は落ち着きを見せてきたらしいです。

市場が安定したのならトラス首相の立場も安定か、というとそうでもなく、彼女は「私が首相になった暁には…」といろいろ頼もしい約束をしてくれたのに、ハント氏がほとんど撤回してしまったので、もうかなり危なくなってきました。

例えば、光熱費の上限をこの先2年間は平均して £2,500にする、と約束してくれたのに、ハント氏は「来年の4月までの半年間だけ」に縮小してしまいました。来年の冬も安心だと思っていたら今年の冬だけ⁉︎

もうトラス首相の船は沈みかけていて、一部は壊れて海に落ちた、とも言われています。

反対派政党の議員たちからだけではなく、同僚(保守党)の議員からも、もう時間の問題だと言われ、このブログを書き終わるまで持つのかしらと思ってしまいました。

でも首相をサポートする人たちの声も届いていて、首相候補レースでライバルだったペニー モーダント氏は、「首相を追い出すようなことはしないでください。これは昼ドラじゃないんだから。今必要なのは安定性なのです」とあくまでも首相退任に反対しています。

そして賭け事が好きなイギリスではすでに次の首相候補は誰になるかの賭けも始まっています。

Screenshot from: https://www.bbc.co.uk/news/live/uk-politics-63278993/page/3

この時期首相候補の中にはなんとボリス ジョンソン氏の名前もありましたが、聞きなれない名前を見つけました。ベン ウォレス氏です。現在は国防大臣ですが、夏の首相候補には立候補しませんでした。立候補しなかった理由は「首相になるためには多くのことを犠牲にしなくてはならず、本当になりたいと思わなければなれない。私はそこまでなりたいとは思えなかったので立候補はしなかった」そうです。で、今回はなりたいか?との問いに関しては「否定はしない」みたいに言葉を濁していました。

本気かイギリス人特有のジョークかは不明ですが、「首相になったとしても私には3人の子供がいるが妻とは別れたので、広いチェッカーズの別荘で一緒に住む人がいない」と話したそうです。(注:チェッカーズとは首相の公式別荘)

もしもトラス首相が本当に退任してしまった場合の有力候補は前回最後の2名に残ったスーパーリッチのリシ スナック氏で、2番手のウォレス氏を大きく離して今の所1位。新財務相になったジェレミー ハント氏も3位です。

ただリシ スナック氏はボリス ジョンソンに一番最初に反旗をひるがえした「裏切り者」のイメージが強く、彼が党首(=首相)になった場合、保守党は分裂すると警告する議員もいるようです。

ペニー モーダント氏もこのような経済危機の時期にリーダーになるには経験が浅すぎるという声も上がっています。

もう保守党はすでに分裂しているので、総選挙をして労働党にリーダーになってもらおうという声も上がっていて、相変わらず大混乱状態のイギリスでした。

Photo by Emrah Kara on Unsplash

作成日:10月17日

参考先URL:https://www.bbc.co.uk/news/live/uk-politics-63278993/page/2https://www.bbc.co.uk/news/business-63285246https://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-63280682theguardian.com “Ben Wallace seen as possible contender to replace Truss as Tory Leader

アイキャッチ画像:Photo by behzad bisadi on Unsplash

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